年間3万人も!孤独死が起きた空き家の片づけ方
近頃何かと耳にする機会が増えたのが「孤独死」ではないでしょうか。少子高齢化や核家族化によって、高齢でも一人で生活している人が増えています。家族と一緒に生活しておらず、連絡もほとんど取らないケースも…。
そんなおひとりさまが孤独死の原因でもあり、実際に年間3万人を超えているとも言われています。あなたが住んでいる場所でも、高齢者の方が一人で生活している家もたくさんあるのではないでしょうか。
もし親が孤独死をしてしまい、実家が空き家になったとしたらどうしたらいいのか?誰にも相談できない孤独死の問題だからこそ、詳しく説明していきたいと思います。
孤独死があった実家の後始末はどうするの?
大抵の残された家族のが頭を悩ませるのが「後始末」ではないでしょうか。孤独死によって実家に誰も住まなくなると、より足を運ぶ機会が少なくなります。
自分の親とはいえ孤独死があった実家に住みたいか?といわれると、正直住むのはちょっと…と話す人が多いのではないでしょうか。孤独死になってしまう家は、ゴミ屋敷化しているケースも多く建物の中の状態がいいとはいえません。
もし住むにしても原状回復やリフォームなどの大掛かりな修繕が必要になってしまいます。そこまでしてそこに住みたいのかどうかによっても変わりますが、孤独死があった物件はそのままになってしまうのが大半です。
相続する・しないだけの問題ではない
親が孤独死した実家ですが、子どもにとってはいらない家であっても相続を放棄することはできず、必ず誰かしらが引き継がなくてはいけなくなります。
一般的に配偶者も亡くなっていれば子どもがその対象になりますので、両親が亡くなった時点で空き家はあなたが所有者になります。ちなみに相続を放棄すれば空き家と関わらなくてもいいのではと思う人もいるかもしれませんね。
ですがこれは大きな間違いになり、相続放棄をしたとしてもつぎの管理者が見つかるまでは管理責任はあなたにあります。次にその空き家の管理者になってもいい人が現れるまでは、現状維持するための努力をし続けなくてはいけないのです。
そもそも相続放棄するような空き家は、誰も欲しがらないケースが多く次の管理者が見つからないケースも珍しくありません。個人だけでなく国や自治体も引き取りたいとは思いません。「いつか管理者が見つかるまで放置しておけばOK」なんて簡単な話ではないのです。
空き家を放置した場合のリスクが大きすぎる
では「住む予定もないしそのまま放置しておいたらどうなのだろう?」と思う人もいるかもしれません。ですが空き家をそのままにするのはリスクもあり、税金が高くなってしまったり、近隣の住宅に迷惑をかけてしまうこともあります。
また、空き家をそのままにしていると不法投棄の場所になってしまうこと、犯罪者の住処になってしまい関係ない犯罪に巻き込まれてしまう危険性もあります。他に気を付けなくてはいけないポイントとして、地震や台風などの自然災害のリスクです。
台風によって戸棚が飛んでいってしまい、民家に被害が出てしまったときは、相続放棄をしていても賠償責任を支払う義務が出てきてしまいます。住んでもいないのに納得できないと思うかもしれませんが、空き家にはそれだけのリスクがあると考えると、離れて暮らしている人にこそ大きな問題になりそうです。
近頃は自然災害の規模も大きくなっていますし、今まで大丈夫だったから…が通用しなくなっています。そのためいつ賠償責任を負担しなくてはいけなくなるのかなんて、誰も予測できません。
たかが空き家と思っていても実はリスクが大きく早めに片付けをして解体してしまったほうが安心できるケースが多いのです。また、今すぐに後始末をしないにしても、結局いつかは片付けなくてはいけません。ただ後回しにしているだけで現状が変わるわけではないので、早めに取り掛かってしまったほうが安全なのです。
孤独死になると建物としての価値は下がる?
孤独死によって不動産の価値が下がると言われています。孤独死したことを近所の人に隠している場合でも、どこからかその情報が出回ってしまい誰も寄り付かなくなってしまいます。
ただし空き家を売却するときと賃貸では、状況が大きく変わることがあります。空き家を売却する場合、もともとの相場の半額程度の金額に下がってしまうケースも多く建物としての価値が急激に下がります。
1. 賃貸のケースはどうなるの?
ただし賃貸はそこまで価値が下がりにくいと言われています。賃貸のほうが人の入れ替わりが早く、孤独死のあった事故物件であるのを知らずに住んでいる人もいます。家を借りるときに「ここは事故物件ですか?」と聞かれれば答えないわけにはいきません。
ただし聞かれなければ告知義務としても、わざわざ伝える必要はないのです。また賃貸の場合孤独死などの問題があった物件を、激安物件として賃貸に出しています。基本的に賃貸は嫌なら引っ越しすればいいという考えが根本にあるので、借りる側も気楽に契約するケースが多いとされています。
孤独死のあった物件でも過度に値段を下げてしまうと、ひどい状態だったと認識させてしまうので、あえて相場とそこまで変わらない家賃で貸し出しているケースもあります。事故物件については根強い人気があり、事情を知っていても即決していく人も多いと言われています。
特に都心部などは生活するために少しでも安い賃貸に住みたいと考えている人も多いので、そこまで悲観的に考える必要はなさそうです。
2. 売却の場合はどうなるの?
では売却すると想定した場合、孤独死したままの建物が残っている状態だと5割半額程度の減額になってしまい、どんなに高級な建物に住んでいても一気に価値が下がってしまいます。
もし少しでも価値を高くしたいのであれば建物を一度壊して更地にするだけで、土地としての価値は高くなる傾向にあります。もちろん解体費用は自己負担になりますし400万円~500万円程度のお金がかかるので負担しなくてはいけません。立地がよく更地にしたらすぐにでも売れそうな場所であれば、解体費用を負担してもこの方法を選択してもいいのではないでしょうか。
もともと需要の高い土地だったり、都心部になるとこういった迷信を気にしない人が多いので、購入希望者が見つかるケースもあります。田舎のほうが事故物件になってしまうと買い手が見つからず、自己負担が大きくなってしまうことも…。
そもそももとがとれないのであればわざわざ解体する必要もありません。
ただし建物を一度壊したから「事故物件です」と告知する義務がなくなるわけではありません。もし逆の立場になったとき何も知らずに購入してしまうのは嫌な気持ちになりますね。人間の心情としても知っておきたいと思うのが普通ですし、告知をするのはマナーのようなものだと考えて下さい。
ただし更地にしてしまうと人間はどんどん風化していき、周辺の人達の記憶も薄くなっていきます。亡くなってすぐのタイミングで処分しようとすると多くの人が覚えているので難しいのですが、時間が経ってから処分するなら事故物件であったリスクはそこまで考えなくてもいいと思います。
焦って処分しなくても問題ないのであれば、一度更地にしてしまって様子を見てから売却するという手段もあります。
空き家を有効活用することも故人に対してできること
せっかくの資産ですし、どう扱うのかは所有者によっても変わりますが後悔しない形を選択できれば一番いいですね。また孤独死があった建物を売却したり賃貸にするとなると、故人に対して失礼になるのでは!?と気にされる方もいます。
でももし自分が逆の立場ならどう思うでしょうか。孤独死した物件だからと嫌がられるよりも、有効活用してくれて別の家族でも楽しく生活してくれたら嬉しい気持ちになりますよね。孤独死したから…と扱われるよりも、土地や建物を最適な方法で使ってもらえたほうがいいものです。
故人に対して悪いと思ってしまう気持ちもわかりますが、有効活用することで故人にとっても安心できるケースだってあるのです。
孤独死してしまった家の中を片付けて前に進もう
孤独死というとネガティブなイメージに取られてしまいがちですが、故人の為にも建物の活用方法を探していきましょう。さて、具体的に家の中を片付ける方法について説明していきます。「自分たちで片付ける」か「業者を使うか」のいずれかになります。
1. 自分たちで片付ける
自治体にゴミの回収を依頼して、自分たちで片付ける方法です。もえるごみ・もえないごみ・粗大ごみ・資源ごみなど自治体によっても回収の方法が異なります。回収頻度の少ないものは収集所に直接持っていき処分してもらう方法もあります。
ただし車で移動するなど足がなくてはできませんし、自分で荷物の運び出しや分別を行う必要もあり手間も時間もかかる処分方法です。またゴミ屋敷になっているなど家の状態が悪いケースでは自分たちでかたづけるのは難しい場合もあります。
2. 業者に依頼する
不用品回収業者や遺品整理などの業者に依頼してまるごとおまかせする方法です。手間もかからず時間を取られる心配もないので、片付けたいときにすぐに処分できるメリットもあります。土日祝でも対応していますし、ゴミの分別も必要なくあっという間に片付きます。ただし不用品回収業者のなかには悪質な業者もいますので、本当に信頼しておまかせできる相手かどうかを判断するようにしてくださいね。
まとめ
他人事のように感じている人も、両親と遠く離れた場所に暮らしていてめったに連絡を取らないのであれば十分に考えられます。いざ孤独死になってしまったとき、空き家をどのように片付けるのか?また更地にする価値があるのかなども含め、事前に考えておくといざと言うときに慌てずに対処できるはずです。