引っ越し前の原状回復はどの程度までやるべき?
賃貸住宅を退去する際の悩ましい問題の一つに、「掃除はどの程度やっておくべきなのか?」
ということが挙げられると思いますが、実は、キッチンの油汚れや水回りの水垢などをきちんと掃除しておくと、敷金返還にプラスになることもあるようです。
「敷金」とは?
まず敷金とは、家賃が滞納されたときや原状回復に必要な費用が発生した場合に備えて、入居者がオーナーに対してあらかじめ預けておくお金のことです。
預けたお金ですから、退去時には当然返還されることになります。
ただし、必ずしも全額が返還されるとは限らず、たいていは退去時に原状回復にかかる費用が差し引かれ、その残額が入居者に戻ります。
原状回復義務の定義は実は曖昧
ここで注意したいのが、原状回復義務の定義が曖昧であるということです。
国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」という入居者の原状回復費用負担に関する指針を設けてはいますが、これに法的強制力はありません。
このため、「どの程度掃除をすればいいのか」「掃除の有無が敷金返還に影響を及ぼすのか」という疑問に対して一口に言い切ることができないのが現状です。
したがって、原状回復義務が発生する場所や損傷の度合い、入居者の費用負担に関しては、賃貸契約書を確認するか、不動産管理会社や大家さんに問い合わせるのがベターです。
またその一方で、入居者側も退去時に必要な掃除についてはある程度知っておくことが大切です。
その点、当組合は、賃貸物件を中心に年間350件ほどの原状回復ハウスクリーニングの実績もあります。
安心してなんなりとご相談ください。
独断で掃除をしてしまわないほうがいい場合もあります
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、
一般的に、
- フローリングの色落ち
- 畳やクロスの変色
- 家具の設置による床、カーペットのへこみ
- 電気ヤケ
などは入居者が部屋を普通に使用している中で発生する損耗とされ、原状回復にかかる費用は発生しないとされています。
つまり、これらは修復しなくても敷金が減ることはありません。
こうした損耗を汚れと思い込んで自己流で掃除してしまうと、逆に変色が悪化する可能性もあります。
その場合は、通常の生活で発生する損耗として扱われず、原状回復義務が発生してしまうこともあるので注意しましょう。
掃除しておくことで敷金返還のプラス材料になる箇所は?
一方、このガイドラインでは、
- 台所の油汚れ
- ガスコンロ置き場、換気扇の油汚れ
- 風呂、トイレ、洗面台の水垢、カビ
などについては、「通常使用による損耗」に該当する場合とそうでない場合があるとされています。
これはたとえば、台所の油汚れを掃除せずに放置してさらにひどい汚れとなった場合などには、原状回復にかかる費用を負担しなければならなくなる可能性があるということです。
したがって、これらの箇所に関しては、退去時までにきちんと掃除をしておくと、敷金の返還額がプラスになることも考えられるのです。
汚れを放置せず、日頃からこまめな掃除を 毎月家賃を払って住んでいるといっても、賃貸住宅は他人の財産でもあるので、退去時にはできる限りきれいな状態にして返すのがマナーです。
汚れは放置すればするほど元通りにするのが困難になるので、日頃からこまめに掃除をするように心がけましょう。
最後までお読みいただきありがとうございます。
お客に立てれば幸いです。