遺品整理の形見分けって何?必ずしなくてはいけないの?
両親や親族が亡くなるとお通夜や葬儀、相続関係などやらなくてはいけないことも多く大忙しです。日本人はただでさえ働き者の国民性ですし、毎日忙しいなか遺品整理なども考えなくてはいけなくなります。
そんな遺品整理のなかでも特に重要な仕事の一つに「形見分け」があります。遺品整理をはじめて行う人にとっては聞き慣れない言葉かもしれません。遺品整理の形見分けとはどのようなものなのか?必ず行わなければいけないのか?
など気になるポイントについてまとめてみましたので、是非参考にしてみてくださいね。
遺品整理の形見分けとは
形見分けとは“故人の所持品を親しい間柄の人で分類すること”をいいます。所持品のなかには幅広いものが含まれており、衣類や日用品・貴金属なども入ります。親しい間柄は家族によっても異なりますが、親族や友人などのすべてが含まれます。
そもそも形見分けは日本の習慣の一つになり、法律で定められているものではありません。そのため形見分けをするかどうかは各家庭が自由に決めることができます。近頃はこういった風習をしない家庭も増えており、形見分けを行わないケースも増えています。
形見分けの時期はご家庭によっても時期が変わります。例えば仏教を信仰している場合は、形見分けを行うのは四十九日法要が終わってからが一般的です。遺品整理もこのタイミングで行うケースが多いので、合わせて一緒に片付けます。
仏教にも宗派がありそれぞれに多少のルールが異なります。また、神式で行う葬儀の場合30日後の「三十日祭」もしくは、50日後の「五十日祭」を選びます。30日だと期間が早すぎるということもあり、50日を選ぶのが一般的です。他にもキリスト教を信仰している場合、「1ヶ月命日」の追悼ミサにて形見分けを行うなど、一言で形見分けといってもこれだけの違いがあります。
信仰心が強いひとの場合は決まった日時に行う場合もありますが、そこまでガチガチなものではなく「いつでもいい」と考える人もいます。遺品整理をどのタイミングで行うのかによっても、形見分けの時期が変わります。親族等と相談したうえで形見分けを行うかどうか決めてからでもいいと思います。
日本では形見分けの文化がありますが、海外ではない場合がほとんどです。キリスト教の形見分けについて説明しましたが、あくまでも日本のクリスチャンの風習になるので日本で考える形見分けではありません。国が違えば文化も違うのでそれぞれに違った考え方があるのです。
形見分けではどんなトラブルが起こりやすい?
故人の遺品とはいえ、形見分けをするもののなかには高い価値のあるものも存在します。形見分けではどんなトラブルが起こる可能性があるのか、具体例を踏まえて説明します。
1. 資産価値の高いものの取り扱い方
故人が残した遺品のなかでも資産的な価値の高いものになると、形見分けでは難しいケースもあります。あかには形見の品なのに事務的な手続きを必要とすることに嫌悪感を示す人もいます。
ですが、形見分けでは高価なものは贈らないというのが一般的な考え方になります。これは贈与税がかかってしまうのを考慮したもので、受け取る側が1年間の間で110万円より多くなってしまった場合です。形見分けも対象外ではないので高額なものは避けたほうが相手にかける負担を減らすことにもなります。
なかには贈与税の仕組みを知らずに受け取ってしまい、「贈与税なんて払えない!」などのトラブルになることも…。この辺りは親族とはいえ、十分に注意するべきです。
2. 遺産分配時にトラブルになることも
形見分けでトラブルが多いのは、遺産分配のときです。親族が多く相続人が多ければ多いほど複雑になりトラブルになってしまうこともあります。故人の残した形見ですらも遺産の一つになってしまうので、勝手に手をるけてしまうと後々揉める原因になります。
形見分けについては、遺品整理が終わってから行うが一般的です。よく話し合ったうえで形見分けをしないとトラブルになってしまうこともあります。
3. 形見分けは押し付けにならないようにする
故人にとって思い入れのある品を贈ることが形見分けですが、気持ちの一方通行では意味がありません。そもそも形見分けはいらないと申し出ているのに、どうしてもといって渡すのは相手にとっても戸惑ってしまいます。
故人と交友関係があったのか明確ではない場合は、形見分けをもらっても戸惑ってしまいます。高価な価値のある品を形見分けし、そのまま買取に出されてしまい、悲しい気持ちになるかもしれません。
形見分けでは、故人を偲び遺品を分け合うのが基本です。そのため形見分けとしてお渡しするものの価値の高さや低さを基準に考えるのではありません。あくまでも故人の思い出がどの程度詰まっているのかが重要な考え方になるのです。
故人の思い出を親しいあいだの人で共有します。以前は形見分けは目下の人に贈るものだと考えられていました。目上の人に贈るのは失礼なことだと考えられていた時期もあります。今は故人にゆかりのある人であれば、誰でも形見分けを受け取れるようになりました。
形見分けの手順とは
たくさんの遺品の中から、形見分けを行う手順について説明します。
1. 渡す相手を考える
形見分けを仕分けし、そのなかで誰に何を渡すべきかを考えます。人によっても必要なもの・必要でないものを見分ける基準は違います。故人の品を仕分けするというのは簡単なことではありません。
価値のある品を誤って処分してしまうなどのトラブルも後を絶ちません。まずは貴重品や思い出の品、不用品など複数のカテゴリに分けて作業を進めていきます。形見分けは思っているよりも難しく、誰にあげるべきかも含めじっくりと検討する必要があります。
また、故人の遺言書やエンディングノートなどで「誰々に渡して欲しい」などの希望がある場合は、その意思を尊重するようにしてくださいね。
2. 形見分けはどんな品が対象?
故人がどんなに思い入れがあるものでも、劣化していたり故障していて修理が必要なものを贈るのはマナー違反です。相手にとっても捨てるに捨てられませんし、気分を害してしまう危険性もあります。
形見分けは受け取った側にとっても価値のあるものを贈るのが基本です。例えば「宝石」「時計」「貴金属」「着物」などの価値の高いものが一般的です。なかには現金を形見分けで贈る人もいますが、避けたほうが無難です。
現金派遺産分与で分ける必要があり、トラブルを未然に防ぐことにも繋がります。あまりに金額の高いものは、相続人同士で話し合ったうえで決めるようにしてくださいね。
3. 形見分けの渡し方は?
形見分けは法要などの親族が集まる場所で渡すのが一般的です。ただ仕事の都合だったり遠方に住んでいて、足を運べないケースもあります。その場合、郵送や宅配など手渡しができない場合は、故人とのエピソードを添えて遺品をお渡しするようにしてください。
形見分けでは過剰な包装などは必要なく、シンプルな白い包み紙に入れて渡すのが一般的です。受け取った側は礼状等を送る必要はありません。
生前形見分けを希望する人も増えている
形見分けといえば以前は故人が亡くなってから行うのが一般的でした。ですが、故人が渡したい人がいる場合や、自分が亡くなったあとに遺族同士のトラブルを防ぎたいなどの理由で「生前形見分け」を希望する人も増えています。
生きているときに自分の死と向き合うことは不謹慎だと考える人もいましたが、時代とともに変わりつつあります。
生前形見分けを希望する場合、体が動く元気なうちに行うのが基本です。高齢になるといつ怪我をするか?病気になるか?なんて誰にもわかりません。なかには認知症になってしまい判断力が下がってしまうこともあります。
譲りたい相手がいてもその意思表示すらできなくなってしまう可能性があると考えると、自分が元気なうちに形見分けをするのは決して悪いことではありません。ただしどんなに希望していても自分が亡くなったあとに、別の人が遺品を持っていってしまうこともあるかもしれません。
形見分けで絶対に渡したい相手がいるなら、遺言書もしくはエンディングノートに書き記しておくこと。事前に準備ができていたのかによっても変わります。また形見分けをしたいものの量が多く、何から手をつけていいのかわからないときは、まずは家のなかにある不用品から見直してみるといいと思います。
本当に必要なものと必要のないものを分けてみて、必要なもののなかから形見分けをするものを分けていきましょう。もし自分で決められない場合は「遺品整理士」等に相談しながら進めて行く方法もあります。
まずは家の不用品から見直して片付けよう
人間は何かがあってから自宅にある不用品を片付けようと考える人も多いはずです。でも本当に希望した形にしたいのであれば、元気なうちから準備を進めていくことによって希望通りの片付けが進められます。自宅にあるもののなかで不用品を片付けて、シンプルな生活を心掛けることによって残された家族の負担を軽減することもできます。
家の不用品を片付けたいのであれば、不用品回収業者にまかせてみませんか?ゴミの分別も運び出しも運搬や処分などの、一通りの作業をすべて代行します。不用品を片付けたいものの何から手をつけていいのかわからない…そんなあなたの力になります。
まとめ
遺品整理の形見分けについて説明しました。やるかやらないかは残された遺族が決めることですが、形見分けならではのルールもあります。また故人の遺品を整理するのは思っているよりも大変ですし、元気なうちから生前形見分け等準備を進めておくことも大切です。
形見分けは宗教によっても違いがありますし、大切にしてくれる人を選んで形見分けを行うようにしてくださいね。故人の意思を尊重した形見分けを行うようにしてくださいね。