あとから後悔しない「遺品」の片付け方とは(後編)
前編に引き続き「あとから後悔しない”遺品”の片づけとは」(前編)
処分に困るモノは他にもある。
1年前に心筋梗塞で父親が急逝した、依頼主さんが言う。
「堅物だと思っていた父の部屋から、大量のDVDが出てきたんです。しかもそれが、全部アダルトもの。200枚くらいありました。
こんなにもコレクションしていたなんて、母や私ですら知らなかったんですから、父は誰にも知られたくないはずです。
カナヅチでDVDをすべて粉々にしてから捨てました。
それだけで丸二日かかった」DVDは燃やすゴミとしても出せるが、依頼主さんのような事情があると、「証拠隠滅」してから捨てるハメになる。さすがにそれは手間です。
そんな場合は、『ディスク専用シュレッダー』を用いて細かくして破棄することもできます。
また、自治体に連絡した上で、何が入っているか見えないようにして直接ゴミ処理場に持っていく方法もありますね。
携帯電話
携帯電話は解約するのを忘れていると、いつまでも使用料が引き落とされてしまいます。
相続関係がわかる書類と故人との関係を示す住民票などがあれば、携帯電話の解約は第三者でもできる。
遺品整理の基本は捨てることだと、前編でも述べさせていただきましたが。
とはいえ、あまりにも乱暴に何もかも捨ててしまうと、後になって後悔や揉め事を招くこともあります。
たまには後悔も・・・
一人暮らしだった義父が施設に入るにあたり、3年前に夫と共に実家を整理した依頼主さんが語る。
義父の住まいは賃貸マンションだったので、早く整理して出ていかなければなりませんでした。
だから、アルバムや食器を手にとるたびに静止する夫を『そんなことじゃいつまで経っても終わらないわよ!』と急かし、3日で終わらせました」
義父の趣味は骨董品。
埃をかぶった壺や掛け軸がいくつも出てきたが、奥様さんはすべてを「ゴミ」として捨ててしまったという。
「いまでも旦那さんは、『貴重なものもあったはずなのに、お前が急かすから捨てるハメになった。これでは親父も報われない』と私を責めてきます。それで大ゲンカになったことも、1度や2度じゃありません。こんなことなら、もう1ヵ月分家賃を余分に払ってでも、ゆっくりと整理しておけばよかったと思います」
遺品を捨てることは、想い出を捨てることでもある。
処分すれば二度と戻ってくることはないのだから、整理の方法はよく考えたほうがいい。
貴金属や骨董品など、故人の思い入れが強かったものならばなおさらだ。
貴金属
貴金属の場合は、親が購入した店がわかるなら、そこに引き取ってもらうのが一番良い。
どこで買ったかわからない場合も、適当にリサイクルショップに頼むのは避けたほうがいい。
貴金属や骨董品などで一番安心なのは、デパートです。外商に相談すれば、予想以上の高値がつくかもしれません。
絶対に見つけておくべき重要書類
触れるのが後回しになったが、遺品の整理をする上で、絶対に見つけておかなくてはいけない重要書類がある。
たとえば預金通帳や土地の権利書、保険証券や株券などがそれにあたる。
それらは「資産」であり、現金や貴金属とあわせてすみやかに確保しなければ、相続の手続きもできなくなる。
だが近年、子供たちが全員地元を離れているような家では、ここで手間取ることが非常に多いのだという。
まずは故人がエンディングノートを書いたかがポイントです。
書いていて、それが見つかれば楽ですが、書いていない人も多いし、『書いているかもしれないけど、そのノートがどこにあるかわからない』というケースもあり、その場合は、まずはそのノートを見つけるために家探しをする、ということになります。
エンディングノートのサンプルを作成してみましたのでご参考になれば幸いです。
エンディングノート
親が生きているうちに始めるー生前整理
遺品整理の労を軽減する上で、シンプルだがとても有効なことがある。それは「親が生きているうちに準備を進める」ということです。
重要書類や貴金属、そして現金をどこに置いているのか、まずはノートに整理してもらう。
その上で、もし防犯上の心配があるのなら、そのノートを親族に預けるか、銀行の貸金庫に入れておく。そこまでできれば安心でしょう。
だが、親が健在のうちに遺品整理の話を出すことに抵抗がある人も多いはず。
「早く死んでほしいのか」「親のカネをあてにしているのか」と誤解され、無用な親子関係のもつれに発展するケースも少なくない。
生前の整理を切り出す際に大切なのは、今後親に起こりうる問題を丁寧に説明することです。たとえば、病気で長期入院するかもしれない。
<そのとき、どんな保険に入っているかわからないと困るはずです。そうした場合に備えて、どこに重要書類があるか教えて欲しい、と頼んだらどうでしょうか。
それなら親も自分のためだと納得できるので、安心して教えてくれると思います。
けど、なかなか難しいですね。・・・
最後までお読みいただきありがとうございます。
ご参考になれば幸いです。
前編に引き続き「あとから後悔しない”遺品”の片づけとは」(前編)