高齢者ごみ出し支援制度とは?ごみ屋敷をふせぐために
毎日のゴミ捨てといえども、高齢者にとっては大きな負担になるものです。高齢者の方だけで住んでいる家のなかには、何週間もゴミ出しをしていない不衛生な事態も十分に考えられます。そんな環境の中で生活していればどうなるでしょうか。
最初はゴミが捨てられないだけだったのに、しまいには足の踏み場もなくなるゴミ屋敷になってしまうことも…。そんな高齢者のゴミ問題を解決するための「高齢者ゴミ出し支援制度」があります。具体的にどんな制度なのかについて詳しく説明します。
高齢者のゴミ出し問題は深刻
老老介護や核家族などの問題もあり、高齢者のみで生活する世帯が増えています。実家と離れたところで生活していると、両親のことが気になっていてもなかなか足を運べない…そんな人も多いのではないでしょうか。長期の休みに実家に帰るとゴミが溜まっていて心配になっているなんて声を聞くこともあります。
高齢者になるとさまざまな要因からごみ捨てを負担に感じてしまいます。
1. 筋力の低下
高齢者になると今までなんでもなかった作業でも難しいと話す人は多いものです。足腰を曲げて立ち上がったり座ったりするのはもちろん、ゴミを集める為に腰を曲げることすら辛いときもあります。大きなゴミ袋を持って指定の集積所まで運ぶのは大変なことですし、なかには関節を傷めてしまいゴミを移動させるのが困難なケースもあります。ゴミ袋を毎日移動させることも大変ですし、それが辛いと感じてしまいゴミを溜め込みやすくなります。
2. 認知症
高齢者になり認知症や予備軍になると、ゴミ出しの曜日を覚えたりルールに従うのが難しくなります。一般ごみでももえるごみ・もえないごみで決められた曜日がありますよね。その日の朝までにゴミを出さなくてはいけないのですが、覚えていられなくなってしまいます。また粗大ごみや資源ごみなども月に1回・2回程度の回収しかなく、予約をしたことすら忘れてしまいゴミがどんどん溜まってしまう状況になるのです。認知症の程度にもよりますが、ゴミ出しはできるでしょと思われてしまい支援が受けられないケースも。
3. ケガ
ごみ捨てを頑張っている高齢者のなかには、心身の負担になってしまったり転倒時に骨折してしまう危険性もあります。特に高齢者になると骨粗しょう症になり骨折しやすく自立歩行ができなくなってしまうこともあります。なかには寝たきりになってしまいゴミが捨てられないと話す人もいます。高齢者になってからは重いゴミを自分で無理に持って移動するとは思わないほうが安心です。頼れるところに頼らないとケガの危険性が高くなります。ケガをしてしまった場合、ゴミ捨ては難しいケースが大半です。
4. トラブル
高齢者になり曜日や分別するルールを守らずにゴミを出していると、近隣トラブルの原因になってしまうことがあります。例えば生ゴミの日ではないのにゴミを出していて、カラスが漁ってしまい集積所でゴミの散乱が起きてしまうことも…。それが何度も続けば近隣の住民からはクレームが出てしまいトラブルに発展してしまいます。
近隣の人とのトラブルがきっかけで家の外に出るのが嫌になってしまったり、余計に距離ができてしまいます。特に地域との繋がりがなくなり希薄化している現代だからこそ、余計にこのような問題も起きています。
5. セルフ・ネグレクト
一緒に生活を共にしていたパートナーが亡くなってしまったり、何かがきっかけで生きる気力をなくしてしまい、ゴミ捨てができなくなってしまうこともあります。このケースの場合ゴミだけでなく家事全般が行き届かなくなるケースが大半です。
家の中をきれいにする気力もわかない、社会から距離をおきたいと家から外に出るのを拒否してしまうことも。セルフ・ネグレクトになると自分では認識がないため、周囲の助けがないとゴミ屋敷化した家の中から抜け出せなくなってしまうこともあります。
ゴミ出しができない高齢者自身はもちろん、近隣の住民にとっても困難な状況が続いてしまいます。ゴミ出しが困難なのは仕方がないとは言い切れません。
高齢者ゴミ出し支援制度とは
高齢者ゴミ出し支援制度とは、ゴミ出しが困難な高齢者に代わり自治体のボランティア要員が、玄関先から清掃センターもしくは集積所までゴミを運搬するものです。実際に家に行き不調や異変に気付いたときは、高齢者の福祉部門に連携すると高齢者の見守りも兼ねています。
国立環境研究所の報告書によると、実際にこの支援を行っている自治体は全体の2割程度に過ぎません。法令指定都市だけに限定してみると、8割以上がこの制度を導入しています。町村になると1割以下と取り組みとしては少ない割合になりますが、同居世帯が多く近隣との住民の助け合い制度もあり自然と声掛けができる環境にあると言われています。
ただし大規模までいかず中小規模の自治体になると高齢者の数は増加傾向にありながら、高齢者ゴミ出し支援制度の手が回らない事態がおきています。
高齢者の割合が多く自治体としての規模が大きい地域からこの取組がスタートしている傾向があります。また行政が行わなくても、社会福祉協議会などの男性に委託し支援を受けられる場合もあります。
高齢者ゴミ出し支援制度は誰でも受けられる?
高齢者であれば高齢者ゴミ出し支援制度が必ず受けられるとは限りません。自治体によっても条件が異なりますが、このような条件を定めている地域もあります。あなたのお住いの地域でも高齢者ゴミ出し支援制度があるのかどうかを調べておくと、ゴミ捨てに困ったときにも支援を受けることができます。
1. 介護保険制度で要支援2以上の認定を受ける65歳以上
2. 2級以上の身体障害者手帳を所持している
3. 1.2のみで構成されている世帯
4. 市長が必要だと認めるもの
ゴミ出しについて身近な人の協力を得ることができず、ゴミ集積所まで自分の足で運べない人は高齢者ゴミ出し支援制度を使える可能性があります。希望したからといってすぐに始められるわけではなく、事前に訪問調査を行い支援が必要かどうかを判断している自治体もあります。
自治体によっても変わりますが、近くに家族が住んでいて定期的に行き来している場合は、支援ができないと認定されてしまうこともあります。また、実家から離れて生活していて、ごみ捨てが困難で困っている場合は自治体に連絡し対応しているかどうかを確認して相談するともできます。
高齢者がごみ捨てができなくなるリスクとは
高齢者でごみ捨てができなくなった場合、さまざまなリスクが考えられます。
1. 不衛生な環境での生活
ゴミが捨てられず家の中に散乱している状況になると、ハエやゴキブリなどの害虫はもちろんねずみがいるような不衛生な環境での生活になってしまいます。食べたものはそのまま、ゴミが積み重なっているような状態の部屋にはカビも多く、ハウスダストなどの危険性もあります。部屋の中が不衛生だと空気も悪く肺炎などの危険性も出てきてしまいます。特に免疫力の低下した高齢者の場合は、これらのリスクが高くなります。不衛生な環境が当たり前になってしまう危険性もありゴミ屋敷の悪化も十分に考えられます。
2. 火災のリスク
ゴミで埋もれた部屋のなかには、火災のリスクも考えられます。コンセントの部分までゴミが密集していればショートや引火が原因で火災が発生することもあります。寝タバコで家が火事になってしまうことも考えられます。
また近ごろは災害時に停電し通電したときに周囲がごみの山になっていると火災のリスクを高めます。一気に燃え広がるリスクを考えるとゴミ屋敷のなかで生活するのはリスクが大きくなります。またゴミ屋敷化した部屋のなかで埋もれて災害で逃げられなくなってしまうことも…。
3. 周囲からの孤立
家の中がゴミ屋敷になると「周囲の人には知られなくない」と思う人が多いものです。そのため自然と人付き合いが少なくなってしまい孤立してしまいがちに…。ゴミ屋敷によっては、お風呂場までゴミで埋まってしまい足の踏み場がなくなることもあります。
するとシャワーにも滅多に入らなくなってしまい、衛生的な面でもよく有りません。ゴミ屋敷であることを誰にも知られたくないと思うばかり自然と距離ができてしまうことも。定期的に人が遊びに来るような家だと、ゴミ屋敷になりにくいとも言われています。ゴミ屋敷になると家族との関係も疎遠になってしまうので、より孤立化する可能性があります。
片付けが難しい高齢者の方は不用品回収業者を使おう
片付けをしなくてはいけないことはわかっていても、体が動かず毎日のごみ捨てが困難な場合は、無理に一人で片付けようとしないことも大切です。
ゴミ屋敷化してしまった理由によっても異なりますがなんでも一人で片付けないといけないと思ってしまうと、片付けが負担になってしまうことも少なくありません。自分が住んでいる地域の自治体に相談してゴミを回収してもらう方法もあります。
でもボランティアなど周囲の人に部屋の中を見られたくないと思う人も多いのではないでしょうか。不用品回収業者であればご希望の日時に伺い、不用品の回収や分別、処分などの一通りの作業を行います。
ゴミ捨てが負担だと重い心身ともに辛いと思っている人にとっても、一刻も早く片付けてしまったほうが心身の負担を軽減することにも繋がります。不用品回収業者が気になる方はお気軽にお問い合わせくださいね。
まとめ
高齢者ゴミ出し支援制度について説明しましたが、そんな制度があったことすら知らない人も多いのではないでしょうか。毎日のごみ捨ては思っている以上に心身の負担になります。ふと気付いたときには家の中がゴミ屋敷化していたなんてこともあります。
ゴミ屋敷のなかで生活するリスクも考えると、思いきって処分してしまうのをおすすめします。不用品の回収ならお気軽にお問い合わせくださいね。